WEBライター

一度だけ、興味本位でWEBライターの仕事をやってみようとしたことがあります。

当時の僕には縁もゆかりも、そして興味もないテーマの初心者向け解説文。

初めてだからと数日の猶予をもらって、右も左もわからぬ状態からグーグル大先生に適宜教えを乞いつつどうにか3000字ほどの文章を書き上げて提出。

担当の方から大筋は一発でOKをもらい、

「マジかよ一発かよ俺天才かよ。このままトントン拍子にプロライターになるのならないの!?」

などと妄想を膨らませていたところで担当から追撃メールが入りました。

曰く、「大体これでいいんだけどもっとキーワード突っ込んで下さい。あともっと玄人感を出してください。」

そこで僕はWEBライターという仕事がどういうものか理解し、同時に一気に冷めてしまったのです。

SEO対策についてはあらかじめ資料をもらって少し勉強していたので、自分なりに不自然にならないギリギリの範囲でキーワードを入れて書いたつもりでした。

これ以上キーワード突っ込むならほぼ全文リテイクだと思える程度には構成も考えて書いたので、はっきり言ってやりたくありませんでした。

めんどいから。

入門書を流し読みしただけのあさーい知識を武器に、ろくすっぽ勉強せずレポートや論文をすれすれでかわして大学を卒業した僕です。

「いかにも知ってる人っぽい文章」を書くことも苦手ではなかったのですが、初心者向けということであえてそれはしませんでした。

「読みづらい」「わかりづらい「つまらない」「内容が足りない」

そういう指摘なら書き直したと思います。

結局リテイクはせずその時点で辞めました。

書きたい文章、読みたい文章、読ませたい文章…

この3者が100%かみ合うことは絶対にありえないと断言してもいいでしょう。

その辺りをうまいこと調整してやるのがきっとプロの仕事なのでしょう。

あるいは圧倒的な文章力で、自分の好きなように書きながらも2者を納得させてしまうことができるのなら…

対する僕の手持ちはぬるいプロ意識と半端なこだわり…

楽しくやるのは無理だろうな、と感じてしまったのです。

文章を書いてお金をもらうということがいかに不自由なことか、それ故にいかに尊敬に値することか、身に染みてわかった一件でした。