告白

地下の独房で目を覚ます

二日酔いの午後2時


格子の向こうの階段から

哀しい秋の光が遠く差し込んでくる


便器の前にひざまずいて

口の中に指を突っ込んでみても

出てくるのは後悔と呪詛ばかり


そんな資格はないと

とうの昔に気付いているのに

性懲りもなく

愛されたがる

愛したがる

生きたがる

卑しい魂をぶら下げて


わたしは看守であり囚人

ひたすら罪を犯し

ただ自ら罰し続けるだけの存在

生きていないので死ぬこともない


外からはときおり

微かに歌が響いてくる

題名は思い出せないが

とても懐かしい旋律

花柄の重たい布団の優しさ


それをわたしは密かに愛したが

その思いを意識的に意識しないよう意識する

想えば二度と聞こえなくなってしまうことを知っているから

供養

歌は歌い飽きたし

酒は飲み尽くした

辛酸もたっぷり舐めたが

甘い汁も少しは吸えた

 

そして充分に愛し

それより少しだけ多く愛された

 

今日はとても天気がいいから

子供たちは外に飛び出すだろう

桜は春を予感して支度を始めるだろう


そんな日だから

どうしようもない人間の一人くらい消えても構わないだろう

不実

静かなところに行きたい

樹々が風にざわめく音と

時折遠くで聞こえる飛行機の音

他には何も聞こえない

そんな場所に行きたい

 

肉体も精神も

触れ合えば悲しく軋みを上げるばかり


ゆるしの言葉でさえも僕を苛むから

あなたにはただ隣にいて欲しい

 

言葉も交わさず

 

 


手も握らず

むかしばなし

「真実」と書ける

「しんじつ」と口に出せる

でもそれがなにか

知っているが理解はできない

言葉は世界を切り刻む

だからできるだけ

木や石ころのように黙っているのがいい

こころを殺したい時以外は

育児は難しい

真っ暗なリビングで(第3の)ビールを飲みつつ、ものすごく久しぶりにブログでも書こうかしらと思案していると、寝室から4歳になって間もない娘が出てきた。

 

眠くないの?

 

と訊ねると

 

眠くないの…

 

と返ってくる。

 

どう見ても眠そうなんですが…

 

時計の針はすでに23時を告げようとしている。

 

心身の発育上よろしくはないよね…

 

寝室に追い返そうかとも思ったのだけれどなにか違う気がして、ひとまず膝の上に座らせ、(第3の)ビールを飲みつつ頭を撫でながら思い返してみる。

 

自分が小さい頃はどうだったっけか?

 

9割9分は思い出せないけれど、割と鮮明に蘇ってきた記憶が二つ。

怖い夢をみて隣室の両親を呼んだ記憶と、布団の中で母と手を繋いだ記憶。

もちろん細かいことは覚えていない。

が、なんとなく暖かい気持ちになったということは、少なくとも悪いようにはされなかったのだろう。

 

しばし逡巡したのち、現状を維持することにした。

すぐ寝た。

かわいい。

 

育児は難しいですね。

卒論

卒論のテーマは安部公房作品の解釈。

 

神道キリスト教

ユング心理学から量子論

ハイデガーと陰陽思想。

 

あらゆる(浅い)知識を動員して、とりとめもなく書き散らした。

 

教授も扱いに困ったのだろう。

「文章力はまあまあ優れています。」

要約すると感想はそれだけだった。

 

しかし、書いていてとても楽しかった。

ライターズハイにもなった。

 

また同じ経験をしたくて、なんだかんだとしつこくブログを書いているのかもしれない。